2008年 05月 11日
かつてはいっしょに展覧会を、という話もあったが、難波さんのからだの具合が予測できないので、小野さん個人でアトリエ開きを兼ねた茶会を企画したのだ。 難波さんは大正4(1915)年8月6日生れだから、今年で93歳。昨年末に訪れたときも会えなかったし、ご家族から最近の様子を聞いて心配していたが、翌11日、お会いしてみたら、意外とお元気でほっとした。 まもなく大阪から三島貴美代さんも来訪。なつかしい顔ぶれの再会となった。 それは、モノの価値を根本から問い直し、変換/再編する術としての美術、といったらいいか、その意味で、僕の大事な恩人のひとりだ。 難波さんは、外見がデュシャンに似ている。 やせ形の知的な老人というのは、古今東西みな似てくるのか。 難波さんにデュシャンのポスターをもたせ、"Be twin —Mr.N & Mr.D"と題した写真をプレゼントしたことがある。それを小野さんがカラーコピーで拡大して額装し、アトリエに飾っている。 10年の歳月がすっかり映像を色あせさせていた。 そう、僕は、この万物を浸す時間の海と対話することから、自分の美術活動を始めたのだ。 たった2年ほどのあいだだったが、その場に立つと、当時の記憶、音やにおいがよみがえってくる。 建物再建の話もあるというので、自分のコーナーをかたづけ、作品や道具を持ち帰ることにした。 児島の拠点がこれで消える。少しさびしいが、しかたない。 彼らといると、自分が美術家としてふがいなく思えてくる。 年内にもういちど難波さんをおたずねしたいものだ。
by peuleu2
| 2008-05-11 23:58
| アート
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