2008年 11月 28日
KU-AN
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11月27日(木)、小清水漸先生の紹介で、「峠の茶屋」をいっしょにつくっている学生たちと、噂に聞く茶室「矩庵」を見学させていただいた。
矩庵は、四条富小路を下った徳正寺の内庭にある。設計は藤森照信氏、施工は住職をつとめる陶芸家の秋野等さんがほとんど一人で行ったという。
煎茶でわれわれをもてなしてくださった秋野等さんは、日本画家・秋野不矩さんの末っ子で、京都芸大陶磁器科の出身。同じく藤森氏が設計した天竜市の秋野不矩美術館の施工にも関わったという。徳正寺は路上観察探偵学会の京都での活動拠点だったというから、藤森氏と秋野家は長いつながりがあったわけだ。いっしょにわれわれを迎えてくださった奥様もたいへん明るいお人柄。

秋野等さんから、秋野不矩先生が最晩年、アフリカのマリに土の建築をたずねて旅をされたことを聞いた。絵も好きだったが、その好奇心と行動力に、あらためて不矩先生に共感を覚えた。
僕自身9月にドゴンを旅したこともあって、秋野等さんご夫妻とはたちまち話がはずんだ。秋野等さんご自身も、専門の陶磁器だけでなく、金工から大工まで手がけられる。気が合いそうなのは同じく大工仕事が好きだからか。
また、藤森照信氏は、僕の文化庁在外研修の二次審査のときの選考委員でもあったから、不思議な因縁だ。

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矩庵内部。壁に掛かるのは不矩先生のデッサン。
床はないが、コーナーにうがたれたニッチが効果的だ。
内装は土佐漆喰を主とした左官仕上げ。炉がわりの円形の凹みに花が浮かべてある。
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矩庵は藤森家から運びこんだ栗の木のうえに乗っているように見えるが、実際は壁側の支持でとまっている。土壁のように見えるが、ツーバイフォーのパネル構造に土を塗ってある。
藤森氏は、アフリカの土着的な民家やモスクをデザインソースにしながら、近代工法を自然素材でおおって見せるのがうまい。アフリカに行って藤森建築のボキャブラリーの由来がわかった。
アーチは、ル・コルビュジエの落選したソビエトパレス案からとったというが、それは後付けの説明で、たぶん茶室を見るためのアーチがほしかったのではないか。藤森先生は、構造や素材より、意匠の人なのだ。
by peuleu2 | 2008-11-28 10:53 | 観察


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